十三峠を越えて大湫宿に辿り着いた翌日。まだ山道は続きます。
大湫宿から細久手宿への5km。距離は短いですが、この区間には中山道屈指の遺構が待っています。琵琶峠の石畳——約700mにわたって江戸時代の石畳が敷かれたまま残る、国指定史跡です。中山道に残る石畳の中で最も長く、最も保存状態が良い。十三峠の疲れを忘れさせてくれる、歩く価値のある遺構です。
そしてゴールの細久手宿には大黒屋——江戸時代の旅籠がそのまま宿泊施設として営業しているという、中山道でも指折りの体験が待っています。この記事では、琵琶峠の石畳と細久手宿への5kmを歩くための情報をまとめます。
基本データ

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 区間 | 大湫宿 → 細久手宿 |
| 距離 | 5km |
| 所要時間 | 約1.5〜2時間(峠道のため時速3km換算) |
| 難易度 | ★★★☆☆ |
| 最高地点 | 琵琶峠 標高約540m(中山道美濃路最高地点) |
| 標高差 | 登り約80m・下り約100m |
| 補給 | 大湫宿に自販機あり。途中は補給不可 |
| 最終確認日 | 2026年7月 |
琵琶峠の石畳——中山道最長700mの国史跡
琵琶峠は中山道美濃路の最高地点(標高約540m)であり、その頂上付近に約700mにわたって石畳が敷かれています。1970年代に発掘調査で発見され、その後整備されて現在の姿になりました。国の史跡に指定されています。
石畳は自然石を並べたもので、大小さまざまな石が隙間なく敷き詰められています。石の表面は長年の風雨で丸みを帯び、一部は苔に覆われています。江戸時代の旅人が踏み、数百年の歳月を経て磨かれた石の道。中山道に現存する石畳の中で最も長く、保存状態が最も良い遺構です。
石畳の両脇には一里塚や馬頭観音が点在し、街道の雰囲気を高めています。特に琵琶峠の一里塚は左右両方の塚が現存する珍しい例で、中山道を歩く人にとって必見のスポットです。
注意:石畳は雨天時に非常に滑ります。苔が生えた石の上は特に危険で、転倒してケガをする人もいます。トレッキングシューズを履き、濡れている場合は一歩一歩慎重に足を置いてください。
ルート詳細
大湫宿〜琵琶峠(約2km・登り)
大湫宿を出て南西に進みます。集落を抜けるとすぐに山道に入り、緩やかな登りが続きます。林の中の土の道で、前日の十三峠と似た雰囲気ですが距離は短い。約2kmで琵琶峠の頂上に到着し、石畳が始まります。
琵琶峠の石畳(約700m・稜線)

峠の頂上付近に石畳が約700m続きます。ほぼ平坦〜緩やかな下りで、歩きやすい区間です(晴天時)。石畳の両側に一里塚・馬頭観音・道標が並び、江戸時代の街道風景がそのまま残っています。写真撮影に最適な区間で、多くの人が足を止めてカメラを構えます。
琵琶峠〜細久手宿(約2.5km・下り)

石畳を抜けると下りが始まり、約2.5kmで細久手宿に到着します。下りは未舗装の山道ですが、傾斜は緩やかで歩きやすいです。細久手宿の集落が見えてきたら、大黒屋の古い建物を探してみてください。
細久手宿と大黒屋——江戸の旅籠に泊まる

細久手宿は中山道第48宿。小さな宿場ですが、ここには中山道歩きの人々に愛される特別な宿があります。
大黒屋——江戸時代に旅籠として営業していた建物が、現在もそのまま宿泊施設として使われています。建物は江戸時代後期の構造をほぼそのまま残しており、囲炉裏を囲んで食事をし、二階の客間で眠る。200年前の旅人と同じ場所で同じ体験ができる、中山道で最も貴重な宿泊体験です。
宿泊は完全予約制で、素泊まりまたは食事付きを選べます。中山道を歩く人の間では「一度は泊まりたい宿」として知られており、週末は早めに埋まります。十三峠→大湫宿→琵琶峠→細久手宿→大黒屋泊というルートは中山道美濃路のゴールデンコースです。
補給・トイレ
大湫宿(出発前):
・自販機あり(宿場内)。これが出発前最後の確実な補給
・公衆トイレあり(大湫宿内)
・商店はほぼないため、食料は前日(大井宿・恵那)で調達しておくこと
途中(琵琶峠):コンビニなし、自販機なし、トイレなし
細久手宿(到着後):自販機あり。商店は少ない。大黒屋に宿泊する場合は食事付きにするのが確実
注意点
・石畳の滑り:琵琶峠の石畳は雨天時に非常に滑りやすい。転倒注意
・熊:山中のため熊鈴必携
・道迷い:分岐で標識を確認。地図アプリ併用推奨
・携帯電波:峠付近は圏外になる場合あり
アクセス・エスケープルート
大湫宿・細久手宿ともに鉄道駅から遠いのがこの区間の難点です。
・大湫宿の最寄り:JR釜戸駅(約8km・バスは本数少)
・細久手宿の最寄り:JR武並駅(約10km)
・実質的には、恵那駅から大井宿→十三峠→大湫宿→琵琶峠→細久手宿と連続して歩くか、タクシーを利用するしかない
エスケープルート:
・5kmと短い区間のため、体調が悪ければ引き返す(大湫宿に戻る)のが現実的
・琵琶峠を越えてしまえば細久手宿まで2.5kmなのでそのまま進む
・緊急時は近くの林道に出て携帯の電波を探す
宿泊情報
・大黒屋(細久手宿):江戸時代の旅籠に宿泊。完全予約制。中山道歩きの最高の体験
・大湫宿には宿泊施設なし
・大黒屋に泊まれない場合は、さらに8km歩いて御嶽宿方面に進む必要がある
管理人のひとこと
十三峠を越えた翌日、まだ疲労が残る脚で大湫宿を出ました。「また山道か」と思いながら歩き始めましたが、琵琶峠の石畳に出た瞬間に気分が変わりました。
700mの石畳。両脇に一里塚。木漏れ日が石の表面に模様を作る。「これが江戸時代からそのまま残っているのか」と思うと、一歩一歩が贅沢に感じました。十三峠の「苦行」とは対照的に、琵琶峠は「ご褒美の道」でした。
そして細久手宿の大黒屋。囲炉裏を囲んで食事をし、二階の客間で眠る。中山道を歩いてここに泊まる——この一連の体験は、美濃路で最も記憶に残る一日になりました。
まとめ
大湫宿〜細久手宿は5kmの短い区間ですが、中山道最長の石畳700mと江戸時代の旅籠体験が凝縮されています。十三峠の翌日にこの区間を歩き、大黒屋に泊まるルートは美濃路のゴールデンコース。石畳は雨天時に滑るためトレッキングシューズを履き、大黒屋は必ず事前予約してください。
関連リンク
・前の区間:大井宿〜大湫宿(十三峠)

・次の区間:細久手宿〜御嶽宿



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