本山宿〜贄川宿|「是より南 木曽路」— 中山道が山峡に入る7kmの境界

若神子一里塚(中山道・本山宿〜贄川宿間) 中山道

「是より南 木曽路」。この碑を過ぎると、空気が変わるのがわかります。

木曽路入口付近の奈良井川沿い(本山宿〜贄川宿)
奈良井川に沿って谷が狭まる。ここから先が木曽路です。

本山宿から贄川宿まで7km。数字だけ見れば穏やかな区間ですが、ここは中山道が「信濃路」から「木曽路」に切り替わる境界の道です。奈良井川に沿って谷が狭まり、左右の山が近づき、木曽の深い山間に入っていく。その変化を肌で感じる7kmです。

贄川宿に着くと、かつて「女改め」で知られた贄川関所跡が待っています。ここを通過した瞬間、木曽十一宿の世界が始まります。


基本データ

項目内容
区間本山宿 → 贄川宿
距離7km
所要時間約1時間30分(時速4.5km換算)
難易度★★☆☆☆(緩い登り・平坦基調)
標高差約50m(700m→750m)
補給区間内に自販機あり・コンビニなし
トイレ本山宿内・贄川宿内で利用可能
最終確認日2026年7月

谷が狭まる — 木曽路に入る道

本山宿を出ると、しばらくは国道19号と並行して進みます。この区間は車の音が聞こえますが、旧中山道は集落の中の細い道を通るため、車道から外れる場面も多いです。

歩き始めは開けた風景ですが、奈良井川を上流に向かうにつれて谷が狭まります。両側の山が近づき、空が狭くなる。信州の開放的な盆地から、木曽の山峡に移っていく変化を視覚で捉えることができます。

特に印象的なのは後半2〜3kmです。民家が減り、杉や檜の木立が道沿いに増え、「山に入った」と体が感じるポイントがあります。それが木曽路の入口です。


見どころ


「是より南 木曽路」の碑

区間内に「是より南 木曽路」の石碑があります。中山道を京都方面に歩く場合、ここが木曽路の始まりを告げるポイントです。何の変哲もない石碑ですが、ここを通過する瞬間に「ようやく木曽に入った」という達成感があります。

日出塩駅前の中山道の道筋(本山宿〜贄川宿間)
本山宿の旧中山道の道筋(中山道第32宿・長野県塩尻市)

奈良井川の渓流

道の脇を流れる奈良井川は、この区間では穏やかな渓流の表情を見せます。水が透明で、浅瀬を流れる音が心地よい。夏場は川風が涼しく、歩く者を助けてくれます。


贄川関所跡

贄川宿に入ると、復元された贄川関所が目に入ります。木曽路の入口に設けられた関所で、木曽の檜材の密輸出を取り締まり、「入り鉄砲に出女」の改めを行った場所です。現在は資料館として公開されており、無料で見学できます。

江戸時代、木曽の森林資源は尾張藩が厳しく管理していました。贄川関所はその管理の「門」であり、ここを通過することで木曽路の世界に足を踏み入れることになります。


補給とトイレ


補給

区間内にコンビニはありません。国道19号沿いに自販機がいくつかある程度です。しっかりした食事や買い物は本山宿で済ませてください。

贄川宿到着後も商店は限られます。この先の木曽路は補給が薄い区間が多いため、塩尻や松本で食料をまとめ買いして持ち歩くスタイルが有効です。


トイレ

本山宿内の公衆トイレで出発前に済ませてください。贄川宿に到着すれば贄川関所付近にトイレがあります。7km・1.5時間の区間なので、出発前に済ませておけば問題ありません。


注意点

この区間に大きな危険箇所はありませんが、以下に注意してください。

・国道19号と並行する区間で車の交通量が多い。歩道がない区間は路肩を歩くことになるため、車に注意
・旧道と国道の分岐・合流が数箇所ある。道標を見落とさないように
・JR中央本線の踏切を渡る箇所あり。遮断機に従って通過


宿泊情報

7km・1.5時間の短い区間のため、ここ単独で宿泊計画を立てることは少ないです。前後の区間と組み合わせて一日の行程を設計してください。

贄川宿周辺:
・宿泊施設は限られる。贄川宿に泊まる場合は民宿を事前予約
・奈良井宿まで歩いて(さらに7km)宿泊する計画も選択肢

本山宿・塩尻方面:
・塩尻駅周辺にビジネスホテルあり
・塩尻から本山宿までJR中央本線で1駅(日出塩駅)


アクセスとエスケープルート

起点(本山宿):
・JR中央本線 日出塩駅から徒歩約15分
・塩尻駅からローカル線で1駅

終点(贄川宿):
・JR中央本線 贄川駅から徒歩すぐ
・特急は停車しないが、普通列車で塩尻・松本方面へ移動可能

エスケープルート:
区間内にJR中央本線が並行しているため、途中離脱は容易です。最寄り駅に出ればいつでもリタイアできます。この区間は精神的に安心して歩ける道です。


日出塩桜の丘公園(中山道・本山宿〜贄川宿間の休憩スポット)

管理人のひとこと

この区間を歩いたのは夏の午前中でした。塩尻峠を越えた翌日で、体は軽かったです。

歩いていて印象に残ったのは、空が狭くなっていく感覚です。それまで開けた信州の盆地を歩いていたのが、谷に入った途端に左右の山が迫り、見上げる空の面積が減っていく。「ああ、木曽に入ったんだ」と感じたのはその瞬間でした。

贄川関所の前に立ったとき、「ここから先は木曽十一宿の世界だ」と思うとわくわくしました。奈良井、薮原、宮ノ越、福島、妻籠、馬籠。木曽路の宿場は名前を聞くだけで期待が膨らむ場所ばかりです。この区間はその入口に立つ7kmです。


木曽路の扉を開ける7km

本山宿〜贄川宿は7km・約1.5時間の穏やかな区間です。難所はなく、JRが並行しているため精神的にも安心です。

しかしこの7kmには「木曽路に入る」という大きな転換点があります。谷が狭まり、山が迫り、贄川関所で正式に木曽の世界に入る。その変化を感じ取りながら歩いてください。ここから先の木曽路は、中山道の中でも最も美しい区間が連続します。


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