鳥居峠を越えてきた足は重い。でも薮原宿に入った瞬間、緊張が解けるのがわかります。

薮原宿は中山道第35宿。鳥居峠の西側に位置し、峠越えで疲弊した旅人が最初に安堵できる場所です。本陣1軒・旅籠10軒。木曽十一宿の中では小さな宿場ですが、「お六櫛」の産地として独自の文化を持つ場所でもあります。
木曽川の源流域にある静かな山間の宿場。奈良井宿の華やかさはありませんが、木曽路の日常を感じられる場所です。
薮原宿の基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 宿場番号 | 中山道第35宿 |
| 日本橋からの距離 | 約259.5km |
| 所在地 | 長野県木曽郡木祖村薮原 |
| 本陣 | 1軒 |
| 脇本陣 | 1軒 |
| 旅籠 | 10軒 |
| 最寄り駅 | JR中央本線 薮原駅(徒歩すぐ) |
| 最終確認日 | 2026年7月 |
お六櫛 — 薮原宿の伝統工芸
薮原宿を語るうえで欠かせないのが「お六櫛(おろくぐし)」です。ミネバリという硬い木を使って作る細密な櫛で、江戸時代から薮原の特産品として全国に知られていました。
名前の由来は諸説ありますが、「お六」という娘が頭痛を治すために作った櫛が評判になったという伝承が残っています。歯が非常に細かく、髪を傷めずに梳かせるのが特徴です。
現在も薮原では手作りのお六櫛を販売している店があります。1本数千円〜数万円しますが、一生使える品です。街道歩きの土産として、軽くて嵩張らないのも魅力。宿場内の「お六櫛の館」で製作工程を見学できます。
宿場の現在
薮原宿は火災の歴史があり、古い建物は多く残っていません。現在はJR薮原駅を中心とした小さな集落で、宿場の雰囲気は断片的です。


本陣跡
宿場の通り沿いに本陣跡の碑があります。建物は残っていませんが、通りの幅や区画の配置から宿場の構造を想像できます。
お六櫛の館
お六櫛の歴史と製作工程を展示した施設です。職人が一本一本手作業で歯を切る様子を知ると、この櫛の価値がわかります。見学無料。
木曽川の源流
薮原は木曽川の源流域に位置しています。宿場の近くを流れる木曽川はまだ細い流れで、これが下流で大河になるとは想像しにくいほどです。源流の清らかな水が、この地域の木工文化を支えてきました。
補給とトイレ
補給
薮原宿内に商店があり、飲料や軽食は調達可能です。薮原駅前に自販機あり。コンビニは宿場内にはありませんが、国道19号沿い(徒歩10分程度)に行けば利用できます。
鳥居峠越え前に奈良井宿で補給するか、峠越え後にここで補給するか。行程に応じて計画してください。
トイレ
薮原駅にトイレあり。お六櫛の館にもトイレがあります。困ることはありません。
宿泊情報
薮原宿内に宿泊施設は限られます。
薮原宿周辺:
・民宿あり(要事前予約)
・木祖村内にペンション・キャンプ場あり
前後の宿場:
・奈良井宿(峠を越えて東へ7km)に旅館多数
・宮ノ越宿方面は宿泊施設少ない
・木曽福島駅周辺(宮ノ越のさらに先)にビジネスホテルあり
アクセスとエスケープルート
最寄り駅:
・JR中央本線 薮原駅(宿場の中央に位置)
・普通列車で塩尻まで約40分、木曽福島まで約15分
・特急は停車しない
区切り歩きでの利用:
・奈良井宿〜鳥居峠〜薮原宿(約7km)の峠越え行程の終点
・薮原駅でJRに乗って帰路につけるため、区切り歩きに便利
・翌日は薮原〜宮ノ越を歩くパターン

管理人のひとこと
鳥居峠を越えてきた直後に薮原駅のベンチに座ったとき、ザックを下ろした肩が急に軽くなりました。峠の登りで使った体力が、安堵とともに一気に抜けていく感覚。
お六櫛の館で職人の話を聞きました。ミネバリの木を何年も乾燥させてから、手作業で歯を一本ずつ切っていく。一本の櫛を完成させるのに数日かかる。その話を聞いた後で店に並ぶ櫛を見ると、値段の意味がわかりました。
薮原宿は地味な宿場です。でもお六櫛という「この場所にしかないもの」がある。通過するだけでなく、お六櫛の館に15分でも立ち寄ると、この宿場の記憶が変わります。
鳥居峠を越えた安堵の宿場
薮原宿は鳥居峠の西側に位置する小さな宿場です。峠越え後の休息地として、そしてお六櫛の産地として独自の価値を持っています。
JR薮原駅が宿場内にあり、区切り歩きの起終点として使いやすい場所です。鳥居峠越えの行程を組む際は、ぜひ薮原をゴールにしてください。
関連リンク
・前の宿場:奈良井宿

・次の宿場:宮ノ越宿

・前の区間:奈良井宿〜薮原宿(鳥居峠越え)

・次の区間:薮原宿〜宮ノ越宿


コメント