下諏訪宿を出発するとき、温泉の余韻がまだ体に残っています。和田峠22kmを越えてきた翌日なら、足は重いかもしれません。でもこの区間の前半は諏訪湖畔の平坦路。穏やかに体を慣らしながら歩けます。

問題は後半です。岡谷を過ぎると塩尻峠(標高1012m)への登りが始まり、250mの標高を一気に稼ぎます。ただしこの峠の頂上から見る諏訪湖の全景は、中山道屈指の絶景。登った甲斐があったと必ず思える場所です。
18kmを一日で歩く区間ですが、前半と後半で性格が全く違います。この記事では、それぞれの区間の攻略と実用情報を分けてお伝えします。
基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 区間 | 下諏訪宿 → 塩尻宿 |
| 距離 | 18km |
| 所要時間 | 約4.5〜5時間(峠区間は時速3.5km換算) |
| 難易度 | ★★★☆☆(距離長い+峠あり) |
| 最高地点 | 塩尻峠 標高約1012m |
| 標高差 | 登り約250m・下り約290m |
| 補給 | 前半(下諏訪〜岡谷)は豊富。後半(峠前後)はなし |
| 最終確認日 | 2026年7月 |
前半:下諏訪から岡谷へ(約10km・平坦路)
下諏訪宿を出ると、諏訪大社下社秋宮の脇を通り、国道20号方面へ向かいます。諏訪湖の北岸を西へ進むルートで、しばらくは市街地と湖畔を交互に歩きます。
この区間のポイントは諏訪湖の眺めです。湖畔に出られるタイミングがいくつかあり、天気が良ければ対岸の山々と湖面が美しい。朝の諏訪湖は霧が出やすく、幻想的な風景に出会えることもあります。
岡谷市に入ると、旧中山道は住宅地と工場の間を縫うように進みます。製糸業で栄えた岡谷の面影が所々に残り、レンガ造りの蔵や古い工場跡が目を引きます。派手な見どころはありませんが、信州の地方都市の生活感の中を歩く区間です。
補給(前半)
前半はコンビニ・飲食店が充実しています。下諏訪駅周辺にコンビニ複数、岡谷市内にも商店街やスーパーがあります。後半の塩尻峠には一切補給がないため、岡谷市内で水分・食料を確保してから峠に向かってください。
トイレ(前半)
下諏訪駅・諏訪湖畔の公園・岡谷市内の公共施設で利用可能。コンビニでも借りられます。峠に入ると次のトイレは塩尻峠を下りきるまでありません。
後半:岡谷から塩尻峠越え(約8km・登り+下り)
岡谷市街を抜け、塩尻峠への登りが始まります。住宅地を抜けると徐々に坂がきつくなり、林の中の道に入ります。


登りは約4km・標高差250m。距離のわりに急ではありませんが、18km歩いた後半の脚にはじわじわ効きます。前半で体力を使いすぎないことが、この区間攻略のコツです。
塩尻峠頂上の展望
峠の頂上付近に展望スポットがあり、眼下に諏訪湖の全景が広がります。歩いてきた下諏訪の町、対岸の上諏訪、湖面に映る空。この景色は車では味わえません。ここに立つために登ってきたと思える場所です。
天気が良ければ北アルプスの稜線まで見渡せます。ベンチはありませんが、腰を下ろせる場所はあるので、ここで休憩を取ってください。
峠からの下り
塩尻峠頂上を越えると、塩尻側へ約4km下ります。下りは比較的穏やかで、やがて住宅地に出ます。そのまま旧中山道を辿ると塩尻宿に到着します。
下りの膝への負担は和田峠ほどではありません。ただし18km歩いた後の下りなので、ゆっくり下ってください。
塩尻側に下りると、ぶどう畑が現れ始めます。塩尻はワインの産地で、秋には畑に実がたわわに実っています。山道から突然ワイン畑の風景に変わる落差が、峠を越えた実感を強めてくれます。
注意・危険箇所
・岡谷市内で国道20号を横断する箇所あり。交通量が多いので信号のある横断歩道を利用
・塩尻峠の登り口付近、道標が分かりにくい箇所あり。地図アプリ併用推奨
・峠の山道は未舗装区間あり。雨天後は滑りやすい
・夏場は峠の登りで大量に汗をかくため、水分多めに携帯
宿泊情報
出発地(下諏訪宿):
・下諏訪温泉の旅館多数。和田峠越え後の前泊に最適
・聴泉閣かめや(諏訪大社秋宮前)
・旅館おくむら、鉄鉱泉本館など
到着地(塩尻宿):
・塩尻駅周辺にビジネスホテルあり(東横イン等)
・旧宿場内には宿泊施設少ない
・塩尻駅は交通の結節点のため、翌日の移動にも便利
アクセスとエスケープルート
起点(下諏訪宿):
・下諏訪駅(JR中央本線)— 新宿から特急あずさで約2.5時間
・下諏訪駅から諏訪大社秋宮まで徒歩10分
終点(塩尻宿):
・塩尻駅(JR中央本線・篠ノ井線)— 新宿から特急あずさで約2.5時間
・塩尻宿中心部から塩尻駅まで徒歩約20分
エスケープルート:
・前半は岡谷駅で離脱可能(下諏訪駅から2駅)
・塩尻峠に入ると途中離脱は困難。峠の登り口で体力を確認し、無理なら岡谷駅に戻ることも選択肢
・塩尻峠頂上から塩尻側に車道(旧国道)があり、緊急時は利用可能

管理人のひとこと
和田峠を越えた翌日にこの区間を歩きました。正直に言うと、前日の22kmが脚に残っていて、朝の時点では「18kmも歩けるだろうか」と不安でした。
でも前半の諏訪湖畔は平坦で、歩いているうちに体がほぐれていきました。朝靄の中に諏訪湖が浮かび上がる風景を見たとき、「今日も歩けそうだ」と思えたのを覚えています。
塩尻峠の登りは脚にきましたが、頂上で振り返って諏訪湖の全景が見えた瞬間、全部許せました。あの景色は歩いた人間だけのものです。車で峠を通過する人は、あの角度の諏訪湖を見ることはないでしょう。
塩尻に下りたとき、駅前で食べたとんかつの味は今でも覚えています。脚は疲れましたが、充実した一日でした。
前半の余裕、後半の達成感
下諏訪〜塩尻は18kmの長丁場ですが、前半10kmは平坦な湖畔路で体を慣らし、後半8kmで塩尻峠を越える構成です。前半で足を使いすぎず、峠前に補給を整えることが攻略のポイント。
塩尻峠頂上からの諏訪湖の眺望は、この区間最大のご褒美です。特に晴れた日は北アルプスまで見渡せます。天気予報を確認してから歩く日を決めてください。
和田峠越えの翌日にこの区間を歩く人が多いと思います。前日の疲労は残りますが、前半の平坦路で体をほぐし、後半の峠で締める。中山道歩きのリズムとして理想的な一日になるはずです。
関連リンク
・出発宿場:下諏訪宿

・到着宿場:塩尻宿

・前の区間:和田宿〜下諏訪宿

・次の区間:塩尻宿〜洗馬宿(鋭意作成中)


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