望月宿|「望月の駒」1000年の歴史と鹿曲川沿いの美しい町並み

望月宿の旧中山道(長野県佐久市望月) 中山道
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「望月の駒」。その名を聞いたことがある人は、歴史に詳しい方でしょう。

望月橋から見た望月宿(中山道第25宿)
鹿曲川に架かる望月橋から見た宿場の風景。屋根が連なる美しい眺めです。

望月宿は中山道第25宿。長野県佐久市望月にある小さな宿場です。本陣1軒・旅籠9軒と規模は大きくありませんが、この宿場には二つの特徴があります。一つは朝廷に名馬を献上した「望月の駒」の歴史。もう一つは、中山道の宿場としては珍しいほど保存状態が良い町並みです。

鹿曲川に面した宿場は、橋の上から見ると江戸時代の絵のような構図になります。観光客はほとんどいません。奈良井宿や妻籠宿の華やかさはありませんが、「本物の宿場の空気」を静かに味わえる場所です。


望月宿の基本データ

項目内容
宿場番号中山道第25宿
日本橋からの距離約171.5km
所在地長野県佐久市望月
本陣1軒
脇本陣1軒
旅籠9軒
最寄り駅佐久平駅(北陸新幹線)からバス約40分
最終確認日2026年7月

「望月の駒」— 朝廷に献上された名馬

望月の名は「望月の駒」に由来します。平安時代から、この地域は良質な馬の産地として知られていました。毎年8月15日(望月=満月の夜)に朝廷へ馬を献上する行事が行われ、それが「望月」の地名になったと伝えられています。

信濃国の馬は古代から評価が高く、望月牧(もちづきのまき)は朝廷直轄の牧場でした。この地の馬が「望月の駒」として朝廷に献上され、武士や貴族に重用されたのです。

現在も毎年8月に「榊祭り」として馬を引く行事が残っています。1000年以上続く伝統が、この小さな宿場町に生きている。中山道の宿場の中でも、これほど古い歴史を持つ場所は多くありません。


保存状態の良い宿場を歩く

望月宿の町並みは中山道の中でも保存状態が良い方です。派手な復元や観光整備はされていませんが、逆にそのおかげで「生活の中に宿場が残っている」自然な姿を見ることができます。

茂田井間の宿の町並み(中山道・望月宿〜芦田宿間)
望月歴史民俗資料館(望月の駒の歴史展示)

望月橋からの眺め

宿場の東端、鹿曲川に架かる望月橋からの眺めがこの宿場のハイライトです。川面に宿場の屋根が映り、両岸に木々が張り出す構図は、浮世絵を思わせる美しさがあります。出発する前に、必ず橋の上に立って宿場を振り返ってください。


本陣跡(大森家)

宿場の中央に本陣跡があります。現在は大森家の門が残り、往時の規模を想像できます。門の前に解説板があり、望月宿の歴史と規模が記されています。


旅籠の面影

9軒あった旅籠のうち、建物として残っているものは数軒ですが、通り沿いに二階建ての古い木造家屋が点在しています。二階の出格子窓(でごうしまど)が旅籠の証で、旅人が二階から通りを眺めていた姿が想像できます。


宿場の直線構造

望月宿は約500mの直線的な構造です。通りを端から端まで歩いても5分ちょっと。小さな宿場ですが、その直線の中に本陣、脇本陣、問屋場、旅籠が並ぶ配置は、中山道の宿場の教科書的な構成です。


補給とトイレ


補給

望月宿内に商店がいくつかあり、飲料や軽食は調達できます。ただしコンビニは宿場内にはなく、国道沿い(徒歩10〜15分)に行く必要があります。

次の芦田宿や笠取峠越えに向けた食料・水分は、望月で準備するのが確実です。芦田方面は補給が薄いため、ここが最後の確実な補給点と考えてください。


トイレ

望月歴史民俗資料館付近に公衆トイレがあります。望月橋付近にもトイレあり。小さな宿場ですがトイレには困りません。


宿泊情報

望月宿内に宿泊施設は限られますが、周辺にいくつか選択肢があります。

望月宿周辺:
・民宿あり(要事前予約)
・望月温泉方面に旅館あり

佐久平駅方面:
・佐久平駅周辺にビジネスホテル多数
・望月までバスで約40分。区切り歩きの拠点として便利

前泊の推奨:
・望月〜芦田〜長久保〜和田と進む場合、望月に前泊して翌朝出発するパターンが定番
・和田峠に向けて体力を蓄える起点として最適


アクセスとエスケープルート

最寄り駅:
・佐久平駅(北陸新幹線)からバスで約40分「望月」下車
・東京から新幹線+バスで約2時間半

バス:
・千曲バスの中仙道線で佐久平駅〜望月間を運行
・本数は1時間に1本程度。最終バスの時刻に注意

区切り歩きでの利用:
・八幡宿〜望月宿(約5km)を歩いて望月で終了
・翌日に望月〜芦田〜長久保と歩くパターン
・佐久平駅を起終点にすると計画が立てやすい


望月宿の古い町並み(出桁造りの建物)

管理人のひとこと

望月橋の上に立ったとき、眼下に鹿曲川が流れ、その向こうに宿場の屋根が連なっているのが見えました。夕方で、屋根の色が夕日に染まっていた。何でもない景色なのに、妙に記憶に残っています。

宿場を歩いていると、古い木造の家が普通に人が住んでいる状態で残っているのがわかります。観光のために保存しているのではなく、ここに住み続けている結果として建物が残っている。そういう宿場は少なくなりました。

規模は小さいですし、30分もあれば端から端まで歩けます。でも望月橋からの眺めは中山道で心に残る景色の一つです。通過だけで終わらせず、橋の上で立ち止まってください。


名馬の里の静かな宿場

望月宿は本陣1軒・旅籠9軒の小さな宿場です。しかし「望月の駒」の1000年の歴史と、保存状態の良い町並み、そして望月橋からの美しい眺めがあります。

観光地化されていないからこその静けさがあります。次の笠取峠・和田峠に向けた準備拠点として、この宿場でひと息入れてください。


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