奈良井宿は朝が良いです。
朝6時、まだ観光客が来ない約1kmの出桁造りの家並みを歩く。朝靄の中に漆器店の看板が浮かび、木曽檜の匂いが漂う。中山道を歩いてきた人だけが見られるご褒美です。
奈良井宿は中山道六十九次の第34宿。「奈良井千軒」と呼ばれるほど栄えた宿場で、重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。中山道で最も長い宿場であり、最も保存状態の良い宿場の一つです。この記事では、奈良井宿の歩き方・泊まり方・楽しみ方をまとめます。
奈良井宿の基本情報

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 宿場番号 | 中山道第34宿 |
| 所在地 | 長野県塩尻市奈良井 |
| 日本橋からの距離 | 252.5km |
| 本陣 | 1軒 |
| 旅籠 | 5軒 |
| 町並みの長さ | 約1km(中山道最長の宿場) |
| 保存制度 | 重要伝統的建造物群保存地区 |
| 最終確認日 | 2026年7月 |
なぜ「奈良井千軒」と呼ばれたのか
奈良井宿がこれほど大きな宿場になった理由は、その位置にあります。奈良井宿の先には鳥居峠(標高1197m)が控えており、峠越えを翌日に控えた旅人が必ずここで一泊したのです。
本陣1軒・旅籠5軒の公式記録ですが、実際には旅籠以外にも多くの茶屋や木賃宿があり、「千軒」(千もの家が軒を連ねる)と呼ばれるほどの賑わいでした。漆器(木曽漆器)の生産地としても栄え、旅人は日用品の漆器をここで買い求めました。
明治以降は鉄道の開通で宿場としての機能を失いましたが、逆にそのおかげで近代化の波を免れ、江戸時代の町並みがそのまま残りました。1978年に重要伝統的建造物群保存地区に選定され、現在に至ります。
奈良井宿の歩き方
奈良井宿は南端の鎮神社から北端まで約1kmの一本道です。歩くだけなら15分で通過できますが、それではもったいない。建物を眺め、漆器店に立ち寄り、水場で水を飲みながら歩くと1〜2時間は楽しめます。
出桁造りの家並み

奈良井宿の建物は「出桁造り」(だしげたづくり)という様式で、2階が1階より前にせり出しています。雨や雪から1階の往来を守るための構造で、奈良井宿の町並みの特徴です。屋根は板葺きに石を載せた「石置き屋根」が一部残っています。
水場(水舟)

宿場内に「水舟」と呼ばれる木製の水場が数箇所あります。山から引いた清水が常に流れており、飲むことができます。暑い日の街道歩きで、この水場は本当にありがたい存在です。
漆器(木曽漆器)の店
奈良井宿は木曽漆器の産地です。宿場通り沿いに漆器を扱う店が数軒あり、箸・椀・盆などを手頃な価格で購入できます。中山道歩きの記念品としておすすめです。軽くて割れにくいので荷物にもなりません。
見学できる施設
・上問屋資料館(入館300円)— 問屋役を代々務めた家。古文書や旅道具が展示されており、宿場の運営の実態がわかります。国の重要文化財
・中村邸(入館300円)— 櫛問屋の商家。出桁造りの内部構造を見学できます
・楢川歴史民俗資料館— 木曽漆器の製造工程や奈良井宿の歴史を展示
鎮神社
奈良井宿の南端に鎮座する宿場の守り神です。鳥居峠越えの安全を祈願する旅人が必ず参拝した神社で、現在も宿場の入口(南側から来た場合)として機能しています。境内は小さいですが、静かに手を合わせる場所として立ち寄りやすいです。
木曽の大橋
奈良井駅近くにある総檜造りの太鼓橋です。橋長33m、幅6.5m、橋脚のないアーチ構造で、木曽檜をふんだんに使った美しい橋です。宿場とは少し離れていますが(徒歩5分)、写真映えするスポットとして人気があります。
奈良井宿に泊まる

奈良井宿は泊まるべき宿場です。理由は2つ。
1つ目は朝の宿場を体験できること。観光客がいない早朝の町並みは、昼間とは全く異なる静けさと美しさがあります。江戸時代の旅人が見た光景に最も近い時間帯です。
2つ目は翌日の鳥居峠越えの準備。奈良井宿の先は鳥居峠(標高1197m)の峠越えです。朝から万全の状態で峠に臨むには、前泊が圧倒的に有利です。
宿泊施設:
・伊勢屋(江戸時代の旅籠に泊まれる)
・ゑちごや(民宿・宿場内)
・その他ゲストハウスあり
※人気宿場のため週末・観光シーズンは早めの予約が必要です
補給・トイレ
補給:コンビニはありません。宿場内の土産物店・カフェ・食事処で飲み物・軽食を購入できます。JR奈良井駅付近に自販機あり。鳥居峠越えに備えて水分・食料はここで十分に確保してください。
トイレ:宿場内に公衆トイレが複数(駅前・宿場中ほど・鎮神社付近)。観光地のため清潔で安心です。
食事:蕎麦屋・カフェ・五平餅の店があります。ただし営業は昼間中心(10:00〜16:00頃)。早朝・夕方は閉まっている店が多いので、宿泊時は宿の食事を利用するのが確実です。
季節別のおすすめ
・春(4〜5月):新緑が美しい。GWは観光客が増えるため平日推奨
・夏(6〜8月):標高900mのため市街地より涼しい。水舟の水が心地よい
・秋(10〜11月):紅葉と出桁造りの組み合わせが最も美しい季節。写真撮影のベストシーズン
・冬(12〜3月):雪が積もると幻想的。ただし営業していない店が多い。防寒必須
・6月第1週:奈良井宿場祭り(お茶壷道中の行列再現)
アクセス・最寄り駅
最寄り駅:JR中央本線「奈良井駅」(宿場の北端まで徒歩3分)
主要駅から:
・名古屋駅 → 奈良井駅:特急しなの+普通で約2時間
・松本駅 → 奈良井駅:JR中央本線で約40分
・新宿駅 → 奈良井駅:特急あずさ+普通で約3.5時間
区切り歩き:
・前の贄川宿から奈良井宿まで6km(約1.5時間)
・奈良井宿見学後、JR奈良井駅から帰ることも可能
・次の薮原宿まで7km(鳥居峠越え・約3時間)
管理人のひとこと
奈良井宿は朝が良いです。
宿に泊まって、朝6時に宿場を歩きました。まだ観光客がいない約1kmの出桁造りの家並みは、江戸時代にタイムスリップしたかのようでした。朝靄の中に木曽漆器の看板が浮かぶ光景は、中山道を歩いてきた人だけが見られるご褒美です。
まとめ
奈良井宿は中山道最長の宿場であり、最も美しい宿場の一つです。1kmの出桁造りの町並み・漆器の店・水舟・古い旅籠。通過するだけでなく、できれば一泊して朝の宿場を歩いてください。鳥居峠越えの前泊地としても最適です。
関連リンク
・次の区間:奈良井宿〜薮原宿(鳥居峠越え)

・前の区間:贄川宿〜奈良井宿



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