今切の渡し|東海道唯一の渡船区間と日本唯一の現存関所を歩く

舞阪宿 渡船場跡・北雁木(東海道・今切の渡し出発地) 区間ガイド

東海道には「歩けない区間」が2つあります。宮宿〜桑名宿の七里の渡しと、ここ舞阪宿〜新居宿の今切の渡しです。

今切の渡し。浜名湖の入口(今切口)を渡船で越える約4kmの海上ルートでした。1498年の大地震で浜名湖と海がつながり「今切れた」ことからこの名がつきました。江戸時代、旅人は舞阪宿の渡し場(北雁木)から船に乗り、浜名湖を横断して新居宿に上陸。上陸した旅人は直ちに新居関所で改められました。

現在、渡船は廃止されています。東海道ウォーカーは弁天島経由の陸路(約6km)で新居宿に向かいます。この記事では、今切の渡しの歴史と現在の渡り方、そして日本唯一の現存関所・新居関所の見学情報をまとめます。

今切の渡し 基本データ

舞阪宿 渡船場跡・北雁木(東海道・今切の渡し出発地)
舞阪宿の渡船場跡「北雁木」。江戸時代、ここから船に乗って浜名湖を渡りました。
項目内容
区間舞阪宿 → 新居宿
江戸時代の渡船距離約4km(浜名湖横断)
現在の徒歩ルート約6km(弁天島経由・国道1号)
現在の所要時間約1.5時間(時速4km換算)
難易度★☆☆☆☆(完全に平坦)
補給弁天島付近にコンビニ・自販機あり
最終確認日2026年7月

今切の渡しとは何だったのか

浜名湖(東海道・今切の渡し区間)
今切の渡しで越えた浜名湖。かつては渡船で約4km横断していました。

浜名湖はかつて淡水の湖でしたが、1498年の明応大地震で砂州が崩壊し、海と繋がる汽水湖になりました。「今切れた」場所——今切口です。これにより東海道は分断され、旅人は渡船で浜名湖を越える必要が生じました。

渡船は舞阪宿の「北雁木」(きたがんげ・石畳の船着き場)から出航し、新居宿の渡し場に着岸しました。所要時間は約30分〜1時間。七里の渡し(宮〜桑名・4時間)に比べれば短いですが、浜名湖は潮の流れが速く、転覆事故もあったと伝わっています。

渡船の特徴は、到着した旅人が直ちに新居関所で取り調べを受けたこと。船から降りたら即・関所。逃げ場がない仕組みです。渡船と関所がセットになった防衛システムは全国でもここだけでした。


現在の東海道ウォーカーはどう渡るか

新居弁天海釣公園から見たかつての渡し区間(浜名湖)
新居側から望む、かつての渡船ルート。この水面を船で渡っていました。

渡船は明治時代に廃止され、現在は弁天島経由の陸路で新居宿に向かいます。国道1号線の弁天島交差点を経由するルートで、約6km・1.5時間の平坦な道です。

ルートの流れ:
1. 舞阪宿を出発し、舞阪の松並木を通過
2. 弁天島に入る(JR弁天島駅付近)
3. 国道1号線(浜名バイパス側道)を西へ進む
4. 浜名湖を橋で渡る(歩道あり・浜名湖の眺望が良い)
5. 新居宿に到着 → 新居関所を見学

弁天島付近は観光地で、夏は海水浴客で賑わいます。浜名湖を渡る橋の上からは、かつて渡船が横断した水面を見下ろすことができます。「あの水面を船で渡っていたのか」と想像しながら歩くと、単なる国道歩きにも意味が生まれます。


新居関所——日本唯一の現存関所建物

新居関所(日本唯一の現存関所建物・東海道)
新居関所。日本で唯一現存する関所建物。渡船を降りた旅人は必ずここで改められました。

新居宿に着いたら、新居関所(入館310円)を見学してください。日本で唯一、関所の建物が現存している場所です。箱根関所も復元されていますが、あちらは「復元」。新居関所は「現存」です。

関所内には取り調べの間・番所・柵門が残されており、旅人が「手形」を差し出して通行を許可される流れが具体的にわかります。特に女性の通行(「出女」の取り調べ)が厳しく、髪型や身体的特徴まで確認されたことが展示で解説されています。

渡船で到着した旅人はすぐにこの関所を通過しなければなりませんでした。海上ルートで関所を迂回することは不可能——渡船と関所が一体化した防衛の巧みさを実感できる場所です。


この区間の見どころ

舞阪宿の北雁木(出発地)— 石畳の渡し場跡。江戸時代の旅人がここから船に乗った
舞阪の松並木(舞阪宿出発直後)— 約700m続く東海道の松並木。国指定天然記念物
弁天島の赤鳥居(約3km地点)— 浜名湖に浮かぶ赤い鳥居。写真スポット
浜名湖の橋上からの眺望(約4km地点)— かつての渡船ルートを見下ろせる
新居関所(到着地)— 日本唯一の現存関所建物。国指定特別史跡
新居宿の旅籠・紀伊国屋(関所近く)— 江戸時代の旅籠建物が残る


補給・トイレ

舞阪宿(出発前):JR舞阪駅周辺にコンビニ・自販機あり
弁天島付近(約3km地点):コンビニ(ファミリーマート弁天島店)・自販機・飲食店あり。補給に困らない
新居宿(到着後):JR新居町駅周辺にコンビニあり

トイレ:JR舞阪駅・弁天島海浜公園・新居関所付近にそれぞれ公衆トイレあり


アクセス・最寄り駅

舞阪宿:JR東海道本線「舞阪駅」(宿場まで徒歩10分)
新居宿:JR東海道本線「新居町駅」(新居関所まで徒歩5分)
浜松駅から:舞阪駅まで約10分 / 新居町駅まで約20分

区切り歩き:
・浜松駅からJRで舞阪駅へ → 今切の渡し区間を歩く → 新居町駅から帰る(半日コース)
・前の浜松宿〜舞阪宿(12km)と合わせて1日コースにすることも可能
・新居関所を見学して新居町駅で区切るパターンが一般的


宿泊情報

・弁天島に温泉旅館・ホテルあり(弁天島温泉)。浜名湖の眺望が楽しめる
・浜松駅周辺にビジネスホテル多数(JRで10〜20分)
・舞阪宿・新居宿エリアは宿泊施設が限られるため、浜松泊が現実的
・弁天島温泉に泊まって翌朝新居関所を見学→潮見坂方面に歩き出すパターンもおすすめ


管理人のひとこと

舞阪の北雁木に立ったとき、目の前に広がる浜名湖を見て「江戸時代の旅人はここから船に乗ったのか」と実感しました。

今は弁天島経由で歩いて渡れますが、湖面を見ながら6km歩くと、渡船で揺られた旅人の気持ちが少し分かる気がしました。風が強い日は「これは怖かっただろうな」と思います。

新居関所は「現存」であることの重みが違います。復元ではなく、本当にここで旅人が取り調べられた。その空間に立つと、江戸時代の緊張感が少しだけ伝わってきます。


まとめ

今切の渡しは東海道唯一の渡船区間であり、新居関所は日本唯一の現存関所です。現在は弁天島経由の陸路6kmで歩けます。舞阪の北雁木で渡し場の歴史を感じ、新居関所で江戸の防衛システムを学ぶ。東海道歩きで外せない区間です。


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