宿場町の保存状態ランキング|五街道で最も江戸を感じる宿場はどこか

関宿の歴史的町並み 特集

五街道には100以上の宿場町がありますが、その保存状態は千差万別です。江戸時代の町並みがそのまま残る宿場もあれば、地名以外に面影がまったくない宿場もある。

この記事では、管理人が実際に歩いて確認した「町並みの保存状態」をランキング形式でまとめます。評価基準は「歩いたときに江戸時代の宿場の雰囲気を感じられるか」です。

評価基準:
・建物の残存(本陣跡・脇本陣跡・旅籠建築・出桁造りなど)
・町並みの連続性(1棟だけでなく、通りとして雰囲気があるか)
・電線地中化など景観整備の有無
・観光地化されすぎていない「生きた町並み」か


宿場町 保存状態ランキング TOP10

順位宿場名街道特徴評価
1奈良井宿中山道1km続く出桁造り。重伝建選定★★★★★
2妻籠宿中山道日本初の町並み保存。電線地中化★★★★★
3関宿東海道東海道随一の歴史的町並み。200棟以上★★★★☆
4馬籠宿中山道坂の宿場。石畳+恵那山の眺望★★★★☆
5福島宿中山道四大関所。上の段の町並み+酒蔵★★★★☆
6台ヶ原宿甲州街道日本の道100選。金精軒・七賢が現存★★★☆☆
7醒井宿中山道地蔵川沿いの古い町並み。梅花藻★★★☆☆
8由比宿東海道本陣跡+旧道の雰囲気が良い★★★☆☆
9長久保宿中山道L字型の宿場構造がそのまま残る★★★☆☆
10二川宿東海道本陣資料館+旅籠「清明屋」現存★★★☆☆

1位:奈良井宿(中山道)

文句なしの1位。約1kmにわたって出桁造りの建物が連続する町並みは圧巻です。重要伝統的建造物群保存地区に選定されており、観光地でありながら住民の生活も息づいています。朝早く訪れると観光客がいない静かな町並みを独り占めできます。

奈良井宿の出桁造りの町並み
奈良井宿。1km続く出桁造りの町並みは圧巻

2位:妻籠宿(中山道)

日本で最初に「町並み保存」に取り組んだ宿場。電線が地中化されており、空を見上げたときの「江戸時代感」は五街道随一です。売らない・貸さない・壊さないの三原則で守られてきた町並みは本物の重みがあります。

妻籠宿の町並み
妻籠宿。電線地中化された通りは空が広く、江戸時代の雰囲気そのもの

3位:関宿(東海道)

東海道で最も町並みが残っている宿場。約1.8kmの旧道沿いに200棟以上の歴史的建造物が並びます。重伝建に選定されており、規模は奈良井宿を上回ります。奈良井・妻籠ほど有名ではないため観光客が少なく、静かに歩ける穴場です。東海道を歩くなら、ここだけは絶対に見逃さないでください。

関宿の歴史的町並み
関宿。1.8kmに200棟以上の歴史的建造物が並ぶ東海道随一の宿場

4位:馬籠宿(中山道)

急坂に沿って石畳の道が続く宿場。恵那山の眺望と合わせて景観が完成しています。観光地化が進んでいるものの、坂道の構造自体が江戸時代のまま。島崎藤村の故郷としても知られ、文学ファンも多く訪れます。

馬籠宿の石畳の坂道
馬籠宿。急坂の石畳と恵那山の眺望が作り出す景観

5位:福島宿(中山道)

木曽の中心地。「上の段」と呼ばれる高台のエリアに古い町並みが残ります。四大関所の一つ・福島関所跡も復元されており、宿場の規模感を体感できます。酒蔵も複数あり、歩いた後に地酒を楽しめる宿場です。

福島宿・上の段の町並み
福島宿・上の段。四大関所の一つ、木曽の中心地

6位:台ヶ原宿(甲州街道)

「日本の道100選」に選ばれた甲州街道の宿場。金精軒(信玄餅の元祖)や七賢(酒蔵)など、江戸〜明治期の商家建築が旧道沿いに現存します。中山道の有名宿場と比べると小規模ですが、観光地化されていない分「生活の中に歴史が残る」雰囲気が強いです。甲州街道で唯一ランクインする宿場町です。

甲州街道・台ヶ原宿の町並み
台ヶ原宿。日本の道100選に選ばれた甲州街道の美しい宿場

7位:醒井宿(中山道)

地蔵川沿いに古い建物が並ぶ、水の宿場です。夏には清流に梅花藻(バイカモ)が咲き、水中に白い花が揺れる光景が見られます。問屋場跡や旧醒井郵便局(ヴォーリズ建築)が残り、小規模ながら「歩いて気持ちいい」宿場です。JR醒ヶ井駅から徒歩1分のアクセスも魅力。

醒井宿・地蔵川と醒井大橋
醒井宿。地蔵川の清流沿いに古い町並みが続く水の宿場

8位:由比宿(東海道)

小規模ながら、旧東海道沿いに由比本陣公園と数軒の古い建物が残ります。宿場の規模感がちょうどよく、5分で端から端まで歩ける。薩埵峠に向かう前の「静かなスタート地点」として、東海道の中では貴重な雰囲気の宿場です。桜えびの街としても知られています。

由比本陣公園・東海道由比宿交流館
由比本陣公園。小規模だが旧東海道の雰囲気を残す

9位:長久保宿(中山道)

中山道では珍しい「L字型」の宿場構造がそのまま残っています。本陣跡の石垣や、旧旅籠の建物が通り沿いに点在。観光客はほぼおらず、地元の生活がそのまま続いている「素の宿場」です。和田峠に向かう前の最後の平地の宿場として、街道歩きでは重要なポイントでもあります。

長久保宿・L字の角にある浜田屋旅館
長久保宿。L字型の角に建つ浜田屋旅館が宿場構造を物語る

10位:二川宿(東海道)

東海道33番目の宿場。本陣が資料館として復元公開されており、隣接する旅籠「清明屋」は江戸時代の旅籠建築がそのまま残っています。本陣+旅籠がセットで見学できる場所は五街道全体でも珍しく、「宿場の構造を学ぶ」には最適な場所です。JR二川駅から徒歩5分。

二川宿・本陣資料館
二川宿本陣資料館。本陣と旅籠がセットで見学できる貴重な場所

番外:大内宿(会津西街道)

五街道ではありませんが、宿場町の保存状態として外せないので番外として紹介します。茅葺き屋根の建物が通りの両側にずらりと並ぶ景観は、日本の宿場町の「原風景」そのもの。重伝建に選定されています。冬の雪景色は特に美しいです。会津若松から車で40分。

大内宿の茅葺き屋根の町並み
大内宿。茅葺き屋根が両側に並ぶ宿場町の原風景

逆に保存状態がほぼない宿場

ランキングの対極として、面影がほぼ残っていない宿場も紹介します。これらの宿場は「地名」と「碑」のみで、建物の遺構はありません。

・品川宿(東海道)→ 商店街として栄えているが江戸時代の建物はゼロ
・板橋宿(中山道)→ 完全に住宅地。石碑のみ
・千住宿(日光街道)→ 市街地化。旧道の道幅が唯一の痕跡
・浦和宿(中山道)→ 繁華街。調神社以外に面影なし
・府中宿(甲州街道)→ 大國魂神社のけやき並木のみ

都市部の宿場は開発で町並みが失われています。逆に言えば、山間部や幹線道路から外れた宿場ほど保存状態が良い傾向があります。


保存状態の良い宿場を訪ねるコツ

・朝8時台に到着する(観光客が少なく、静かに歩ける)
・平日に行く(妻籠・馬籠は週末混雑する)
・「通り」を端から端まで歩く(部分的に見ても雰囲気がわからない)
・路地にも入る(表通りだけが宿場ではない)
・冬場は人が少ない(ただし日が短い)


まとめ

五街道の宿場町で保存状態が良いのは、中山道の木曽路を中心に集中しています。東海道は関宿が突出しており、由比・二川が続きます。甲州街道では台ヶ原宿が唯一のランクイン。日光街道・奥州街道は残念ながら宿場町としての保存ではTOP10に入る場所がありません。

「宿場の雰囲気を味わいたい」なら中山道の木曽路区間を、「東海道で保存された宿場を見たい」なら関宿を最優先で訪問することをおすすめします。

五街道の距離・宿場数比較
中山道の宿場一覧
東海道の宿場一覧


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