江戸時代、五街道の宿場町にはそれぞれ名物がありました。旅人が「ここでしか食べられない」と楽しみにした餅、団子、饅頭、汁。それらは現代にどう残っているのか——実際に歩いて確認してきました。
この記事では、五街道の宿場町で「江戸時代から続く名物」が今も買える・食べられる場所を紹介します。街道歩きの補給ポイントとしても使える情報です。
東海道の宿場名物
丸子宿 — とろろ汁(丁子屋)
東海道20番目の宿場・丸子宿の名物は「とろろ汁」です。慶長元年(1596年)創業の丁子屋が、400年以上にわたり自然薯のとろろ汁を提供しています。歌川広重の東海道五十三次「鞠子」にも描かれた茅葺き屋根の建物が現存します。
住所:静岡市駿河区丸子7-10-10
旧東海道からの距離:旧道沿い(0m)
営業時間:11:00〜14:00(月曜定休)
予算:1,500〜2,500円

関宿 — 関の戸(深川屋)
東海道47番目の宿場・関宿の名物は「関の戸」。赤小豆の餡を求肥で包み和三盆をまぶした干菓子で、寛永年間(1630年代)から続く銘菓です。深川屋は旧東海道沿いに今も営業しており、店構え自体が宿場の景観の一部です。
住所:三重県亀山市関町中町387
旧東海道からの距離:旧道沿い(0m)
予算:500〜1,000円(箱入り)
草津宿 — うばがもち(うばがもちや)
東海道52番目の宿場・草津宿の名物は「うばがもち」。小さな餅に餡をのせた一口サイズの和菓子で、安土桃山時代から続くとされます。現在のうばがもちやは国道沿いの店舗で販売しており、旧街道からも立ち寄れます。
住所:滋賀県草津市大路2-13-19
旧東海道からの距離:約200m
予算:300〜800円
中山道の宿場名物
中津川宿 — 栗きんとん(すや/川上屋)
中山道45番目の宿場・中津川宿の名物は「栗きんとん」です。おせちの栗きんとんとは別物で、栗と砂糖だけで作る茶巾絞りの和菓子。「すや」(元禄年間創業)と「川上屋」が二大老舗です。秋限定(9月〜1月)。
すや本店:中津川市新町2-40(旧中山道沿い)
川上屋本店:中津川市本町3-1-8(旧中山道沿い)
予算:1個280〜350円

追分宿 — 追分の力餅
中山道20番目の宿場・追分宿は中山道と北国街道の分岐点。追分宿にはかつて「力餅」を出す茶屋が並んでいましたが、現在は宿場内に当時の力餅を再現した店はありません。ただし軽井沢方面に「追分そば」を出す店が数軒残っています。
消滅してしまった名物もあるのが現実です。追分宿の場合、宿場の面影は残っていても名物は途絶えています。
奈良井宿 — 五平餅・おやき
中山道34番目の宿場・奈良井宿では、木曽地域の郷土食「五平餅」と「おやき」が食べられます。江戸時代からの名物かは不明ですが、木曽路を歩く旅人の補給食として定着しています。宿場内に複数の店舗があり、歩きながら食べられる手軽さが魅力です。

おすすめ:越後屋(五平餅・おやき)— 奈良井宿の中心部
予算:300〜500円
甲州街道の宿場名物
台ヶ原宿 — 信玄餅(金精軒)
甲州街道の台ヶ原宿には「金精軒」があり、信玄餅の元祖とされる生信玄餅を販売しています。台ヶ原宿は「日本の道100選」に選ばれた美しい宿場で、金精軒の建物も旧街道の景観に溶け込んでいます。
住所:山梨県北杜市白州町台ヶ原2211
旧甲州街道からの距離:旧道沿い(0m)
予算:300〜1,000円
消えた名物・形を変えた名物
すべての名物が現代に残っているわけではありません。街道歩きで「あったはずの名物」がもう存在しない場面にも出会います。
・鳴海宿(東海道)の「有松絞り」→ 絞り製品は販売中だが食べ物ではない
・桑名宿(東海道)の「焼き蛤」→ 現在は高級料理。気軽に食べられる店は限られる
・大津宿(東海道)の「走り餅」→ 元祖の店は閉業。現在は別の店が継承
・板橋宿(中山道)の「縁切榎の餅」→ 現存せず
名物が消える理由は様々ですが、「街道を歩く旅人がいなくなった」ことが最大の要因です。逆に言えば、現代の街道ウォーカーが買い支えることで残る名物もあります。
街道歩きの補給として使うコツ
宿場の名物は「街道歩きの補給ポイント」としても優秀です。特に和菓子系は糖質の即効性が高く、歩行中のエネルギー補給に向いています。
・餅系(力餅・うばがもち)→ 即効エネルギー。食べてすぐ歩ける
・五平餅 → 米+味噌で腹持ちが良い。昼食代わりになる
・栗きんとん → 秋限定だが糖質+食物繊維。携行にも向く
・とろろ汁 → しっかり食事。午前中に食べて午後の歩行に備える
まとめ
五街道の宿場名物は、400年以上続くものから消滅したものまで様々です。旧道沿いで今も買える名物は、それ自体が「生きた歴史遺産」。街道を歩きながら、江戸時代の旅人と同じものを食べる——そんな体験ができるのは五街道歩きならではです。
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