贄川宿を出ると、奈良井川に沿った静かな道が始まります。
次の宿場は奈良井宿——中山道で最も有名な宿場の一つ。「奈良井千軒」と呼ばれた重伝建の町並みが待っています。その奈良井宿に向かう6kmの道は、派手さはないけれど木曽路らしい穏やかさに満ちた区間です。奈良井川の水音を聞きながら、杉やヒノキの林の間を歩く。車の通りも少なく、自分の足音と川の音だけが聞こえる時間です。
贄川宿から奈良井宿は6km、所要約1.5時間。距離も難易度も控えめで、木曽路歩きの「肩慣らし」に最適な区間です。ただし補給ポイントが途中にほぼないため、贄川宿で準備を整えてから出発してください。この記事では、奈良井宿に至る6kmの道のりを歩いた順に紹介します。
基本データ

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 区間 | 贄川宿 → 奈良井宿 |
| 距離 | 6km |
| 所要時間 | 約1.5時間(ほぼ平坦・時速4km換算) |
| 難易度 | ★★☆☆☆ |
| 高低差 | 緩やかな登り約60m(贄川880m→奈良井940m) |
| 補給 | 途中ほぼなし。贄川宿で準備 |
| 最終確認日 | 2026年7月 |
贄川宿を出発する
贄川宿の北端を過ぎると、すぐに集落が途切れて山と川の風景に変わります。旧中山道は国道19号と並行していますが、できるだけ旧道を選んで歩いてください。旧道は国道から外れて奈良井川沿いの細い道を通り、車が来ない静かな歩行が楽しめます。
出発前に贄川宿で済ませること:
・水分の確保(500mlあれば十分。6km・1.5時間の行程)
・トイレ(贄川関所付近に公衆トイレあり)
・贄川駅前に自販機あり——これが次の奈良井宿まで最後の確実な補給です
奈良井川に沿って歩く

贄川宿から奈良井宿までの6kmは、ずっと奈良井川と並行して歩きます。川は左手(西側)を流れており、水量は穏やか。透明度の高い水が岩の間を流れる音が、歩行のBGMになります。
道は基本的に平坦〜緩やかな登りです。奈良井宿は贄川宿より約60m高い位置にありますが、6kmで60mの登りはほぼ気になりません。足元は舗装路と未舗装路が交互に現れます。旧中山道の土の道が残っている区間は、杉林の中を木漏れ日が差す気持ちの良い道です。
途中、平沢集落を通過します。ここは漆器の工房が集まるエリアで、木曽漆器の生産地としての一面を見ることができます。店舗もいくつかありますが、営業は不定期のためあてにしないでください。平沢を過ぎると奈良井宿はもうすぐです。
この区間の見どころ

この区間は「派手な見どころ」はありません。しかし木曽路の本質——山と川と林の中を静かに歩く——を最も純粋に味わえる区間です。
・旧中山道の杉並木(約2km地点)— 国道から外れた旧道沿いに杉の巨木が並ぶ区間。木曽路の原風景
・奈良井川の渓流(全区間)— 透明度の高い川が常に並走。夏は涼しく、秋は紅葉が水面に映る
・平沢の漆器工房群(約4km地点)— 木曽漆器の産地。工房の看板が並ぶ
・奈良井宿の入口が見える瞬間(約5.5km地点)— JR奈良井駅が見え、その先に重伝建の町並みが始まる。この瞬間の高揚感が最大の見どころ
注意点
・国道19号との並行区間:旧中山道は国道19号と合流する箇所があります。国道は大型トラックの交通量が多く、歩道がない区間もあるため注意。できるだけ旧道(国道から外れる細い道)を選んでください
・補給の薄さ:贄川宿を出ると奈良井宿まで確実な補給はありません。平沢に自販機がある場合もありますが確実ではない。贄川で準備を
・旧道の分岐:国道から旧道に入る分岐で標識を見落とさないこと。地図アプリ併用推奨
アクセス・エスケープルート
出発地(贄川宿):
・JR中央本線「贄川駅」— 宿場まで徒歩5分
・松本駅から約35分 / 名古屋から特急しなの+普通で約2時間
到着地(奈良井宿):
・JR中央本線「奈良井駅」— 宿場北端まで徒歩3分
・贄川駅から奈良井駅は電車で2駅(約10分)
区切り歩き:
・この区間は6km・1.5時間と短いため、奈良井宿の観光とセットで半日コースになる
・贄川駅から歩き始め→奈良井宿を見学→JR奈良井駅から帰るパターンが効率的
・あるいは逆方向(奈良井→贄川)に歩き、緩やかな下りで楽に歩くことも可能
エスケープルート:
・国道19号に出れば平沢バス停からバスに乗れる可能性あり(本数少・要時刻確認)
・基本的には6kmと短いため、歩き切るか引き返すかの判断で十分
宿泊情報
この区間自体は1.5時間で歩けるため、区間内での宿泊は不要です。
・奈良井宿(到着地)に宿泊推奨:古い旅籠に泊まれる。翌日の鳥居峠越えに備える前泊地として最適
・贄川宿周辺にも民宿はあるが選択肢は少ない
・奈良井宿は人気のため早めの予約が必要
管理人のひとこと
この区間は「奈良井宿に着く直前の高揚感」が一番の思い出です。
贄川宿から奈良井川沿いの静かな道を歩いていると、「もうすぐ奈良井千軒の町並みが見えるはず」という期待がどんどん膨らみます。平沢を過ぎて、JR奈良井駅のホームが見えた瞬間。そしてその先に出桁造りの家並みが始まる瞬間。木曽路を歩いてきた人だけが味わえる「到着の喜び」がここにあります。
6kmという短い距離ですが、「何もない静かな道→突然現れる千軒の町並み」というコントラストが、奈良井宿の感動を何倍にもしてくれます。この区間を歩いてから奈良井宿に入ることを強くおすすめします。電車で直接行くのとは体験が全く違います。
まとめ
贄川宿〜奈良井宿は6km・約1.5時間の穏やかな区間です。奈良井川沿いの杉林と渓流の中を歩く、木曽路らしい静かな道。難所はありませんが、国道との合流区間のトラックと補給の薄さだけ注意してください。
この区間の最大の価値は「奈良井宿に歩いて到着する体験」です。電車で直接奈良井駅に行くのではなく、贄川駅から6km歩いてから奈良井宿に入る。その差は、実際にやってみるとわかります。
関連リンク
・到着宿場:奈良井宿

・次の区間:奈良井宿〜薮原宿(鳥居峠越え)



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